Sunday, November 05, 2006

大分 ル・セリエ 萩原シェフ フィネスのお料理の世界~






1.クリスタル ロゼ マグナム 1999年
2.ルイ・ジャド コルトン・シャルマーニュ 2本 1997年 
3.シャトー・デュケム 1986年 
4.DRC ロマネ・サンヴィバン 2002年
5.DRC リシュヴール 1997年
6.シャトー・ラフィット マグナム 1996年
7..ペトリュス 1994年


ドイツから、フランスから、大分から~
今回の萩原シェフのお料理に、心を膨らませながら集まったワインたち。
ワイン好きがこれらのラインアップを見るだけでも垂涎の的。
お互いに、是非この華やかな機会に「飲んで欲しい、飲ませて上げたい、いや自分たちが飲みたい!」というワインたちが、同時に集合。







ル・セリエにて。 食事の始まる前の準備段階




一同が、それぞれの想いを胸に抱きながら集合。 
乾杯は、まず1999 クリスタル ロゼ マグナム   

厳粛な空気の中、抜栓されたこの大きなボトルから一秒もかからずに、お部屋一杯にこの素晴らしいシャンパンの芳香が漂い、充満する! 開けたその瞬間から今宵の祝宴がただ事ではないことを知らせてくれたシャンパン。 もう華やかな舞踏会への扉は全開だった~
決めの細かい力強い泡、何とも言えないエレガントな芳香、ビロードのようなした触り・・・



牡蠣のクレソンソース

アミューズとした出されたこの一品
萩原シェフのお料理は究極のフィネスの世界
タイトルから想像してしまう クレソンソースという青っぽさや、牡蠣が煮込んであるんだろうなどというような、野卑な考えはご無用。

クレソンという風が僅かな青さを残しながら、淡くノーズをくすぐってくれる。「秋の風」
口に運ぶと、フランスのベロンが一番だ!と思っていた南仏のムッシューFや、ドイツからの同僚たちをまず唸らせるこの新鮮な牡蠣。かみ締めると牡蠣の凝縮された旨味とジュが、あくまでもエレガントなクレソン風と混ざってくる。生のようで生でないこの絶妙な牡蠣の仕上げ方に一同、スタートからノックアウト。 最初若さを見せたクリスタル ロゼもこの辺りからビロード感が増して、バラの花が飾られたクレソンの風、新鮮な牡蠣のミネラル、見事にきれいなクリームソースの旨味・コクなどなどが一体化されて、喉を通り過ぎて行く。 このバランス感覚だ! 風味だ! フィネスの世界だ! これが萩原シェフのお料理。

大分は、ル・セリエに来た甲斐があった!!!  

という満面の喜びが、フランスからドイツからやって来た者たちの顔に溢れている。





この華やかな舞台では、ひょっとして役不足では?などと一瞬でも考えてはいけなかったルイ ジャド
の1997 コルトン シャルマーニュ! 蜂蜜・蝋感といったラフォンのマコン ヴィラージュなどを想像してしまうと、萩原シェフのお料理のタイトルから「普通に」想像してしまう世界へ堕ちてしまう。 
 綺麗な酸、ミネラル、決して嫌味のない蝋感、蜂蜜などがGrand Cruという重みとエレガンスの世界へ~  華やかなワインです!   ボルドーの白の華やかさ、そしてこちらのC.Cの持つ華やかさは何処かで通ずるものがあるような気がするのですが・・・



オマール海老とかぶのサラダ仕立て、ディル風味

こんなに美味しいオマールを食べたことがあるだろうか・・・ 天然伊勢海老と車海老の中間のような旨味、日本人の持つ魚処理の「和」の感覚とフランスのソースが融合した一品。 この写真から想像して頂きたい! まずオマールの甘味、旨味、ミネラル感。 そして、かぶの甘味、ミネラル感。 かぶの葉っぱの、風のような青さ~。 それらをまとめる綺麗な濃くも薄くもないエレガントなヴィネグレット。その周りをそよ風のように囲むディルの針のような先端部分だけを綺麗に使ったサラダ仕立て! 仕立てということは、サラダでは決してないということ。 エレガントなヴィネグレットが、オマールの旨味をキュッと引き締めてくれる。 そして、かぶの甘味、葉っぱのほんの僅かな苦味がやはり「風」のように通り過ぎて行く。  アミューズの牡蠣の処理の仕方、こちらのオマールの仕上げ方。この微妙な感覚はおそらくフランス人には無理だろうと思ってしまう絶妙さ。 素材の持つ特性を十二分に発揮させながら、口の中でのワインとのマリアージュ、そうジャドの綺麗な酸とハニーが融合する世界。 これが大分の世界~

今まで最高のオマールだと思っていた、ホテルリッツが独自に持つブレターニュにあるオマールファームで採れるオマール! この萩原シェフのお料理を頂いて、それが見事に打ち砕かれてしまったと、同僚のU。






1986 デュケム

夏の1983よりも酸が綺麗に残っていて、ボディも濃厚。 フォアグラとの相性がボトルを見ただけで判るような・・・期待が膨らむ。



栗のスープ、トリュフ風味、フォアグラ添え
 
栗のスープとありますが、いわゆるマロンの香りと味が凝縮されたタイプとは全く違い、ここでも萩原シェフのフィネスが発揮されています、家の前のマロンの並木道に風が吹くと匂う香り。 若いトリュフが細かくスープの中に~ フォアグラは表面のみミクロン単位に焦げ目が付けられて旨味を上手く封じられていて、裏側はワザと焦げ目はなし。 わざとひっくり返して見る同僚Uの感覚も全開。 フォラグラの旨味が裏面から流れ出すように混ざった栗の風味のスープ。淡いトリュフ(旬のお醤油的なものではなく)の風と、素晴らしい技術で仕上がっているフォアグラの旨味ときれいなクリームスープのコク・旨味がここでも融合。 マロンの木の風、トリュフの風が野生美であるフォアグラを口の中で広がり、最後に上品な旨味のみが残り~ デュケムの何ともいえないあのボディとフォアグラの旨味を、それぞれの「風」が支えながら・・・ 究極のフィネスの世界~





華やかな舞踏会には、華やかなワインをと~ 1997年と言いながらまだまだ若いリシュブールでしたが、時間と共にこのテロワールの持つ力を存分に発揮。 流石はDRCです!




2002 ロマネー サン ヴィヴァン DRC
こんなに美味しいワインがあっても良いのかどうか。 すみれのお花畑にいるような~ 絶句してしまう位美味しいワイン。今宵の舞踏会には持って来いの実力者。 このビロードのような滑らかさは、ぺトリュスの滑らかさと通ずるような気がしますなんていうと、「この青二才めが!」とお叱りを受けるかも知れません。 1978 Charles Noellat のサン ヴィヴァン以来に感動したワインです!!







舌平目のポシェ、茸のデュクセル添え、パセリ風味のソース
もうここまでくれば、どうかみなさんこのロールされた舌平目をご覧下さい! パセリ「風味」ソースをご覧下さい!! 舌平目をロールしてこの姿でどのシェフが提供できるでしょうか!! 口に含むと天然アナゴを上手く白蒸ししたような錯覚に陥る位に、身が柔らかく、且つ、旨味を逃さずに仕上げられております。 茸のデュクセル添えということで、おそらくエシャロット、オニオンなどと共に数種の茸たちを同型に切りそろえ、ポワレしたもの? その森の香りを絶妙な塩加減で引き締められて、パセリ「風味」という「風」と共に、頂くこの舌平目。 このお魚の持つミネラル感、エレガントな旨味とパセリの風・・・ロマネー サン ヴィヴァンとの相性は一気に舞踏会の華へと。 リシュブールが開いて来てから見せてくれた構築感とあのDRCのベリー香、このかすかに残る微妙な塩加減の舌平目のポシェとの相性も忘れることはできません。 

ワインのフィネスとお料理のフィネスが共鳴し合う瞬間。 

それが至福の瞬間です。






1994 ぺトリュス  

1982年を飲んだだけで? この度2回目の貴重なボトル。
DRCワインもそうですが、ぺトリュスは、飲まずして語れず~
この丸みと凝縮感は、もう神々しい世界。 ぺトリュスに点数を
付けようとすること自体が無意味のような~ 






1996 ラフィット マグナム
ワインのラインアップを見たときに、クリスタルロゼ、DRC2002のサンヴィヴァンとこの1996のラフィット  マグナム! を見たときに、
心臓が止まりそうになるほど、いや腰を抜かしそうになってしまった。

おそろしいほどの構築感と凝縮感、エレガンスを合わせ持つこのワイン。 これ以上のワインがあってよいものかどうか・・・ やはりシャンパンにしてもワインにしてもマグナムから醸し出されるこの+アルファは、尋常ではない~ これらの神々しいワインとの出会いに遭遇できただけでも心から感謝。
大聖堂です!






佐賀牛のポワレ、ソースアルマニャック
萩原シェフのフィネスの世界も遂にここまで来たり~ 事前にソースアルマニャックという名前を読んだ時に、アルマニャックというストレートな世界をどうやったらフィネスの世界へ高めることが出来るのか?
また、同時にこれらの神々しいワインたちと合わせるためには、どう対処されるのか食べて見るまでは想像も出来なかった。 

佐賀牛のポワレ、表面の薄皮のみポワレされていて中は殆どレアの状態。超レア! いわゆるお刺身状態で楽しむこの素晴らしいお肉の身は、もうお刺身の世界に通ずる繊細な世界。 温かいお刺身から醸し出される滑らかな流れ出るナッツ香~、ほのかな酸、草食ではないビーフから出るコクが、想像を絶するような滑らかで透明感のあるあくまでもエレガントなアルマニャックのソースと混ざり合う。 この難しいお酒をどうすれば神々しい「風」の世界へと高めることができるのか・・・

この萩原シェフの「風」のソースと佐賀牛、ぺトリュス、ラフィットの香り、それぞれの持つ凝縮感が合流した時に初めて、コニャックではなくアルマニャックでなければならない理由が判った。 華やかなんです!

風のように漂う透明なソースアルマニャックには、野卑なアルコール臭など残っている訳もなく、これらの神々しいワインとお肉を結ぶ、究極のソースに圧倒されてしまい、思わず跪きそうになってしまった。
平素からお肉を食べない一人の人間のために、全員の楽しみを奪う訳にも行かずに承諾したこのお肉料理~ 

一人だけお魚に替えていただけませんかなどという野暮なことを言わなくて良かったと、夏に続いて経験した萩原シェフの底なしの感性にただただ脱帽。


前回にも会食を通して感じた完璧なサービスチームの熟練度。
気付いた時に、必要なだけ機敏に且つ、エレガントに~ 
そこには、萩原シェフへの絶大なる信頼の元、奉仕される
身のこなしがあります。
素敵な女性方は、やはりオーナーご夫妻が「サービスの本質」を
熟知されていらっしゃるからだと、偉大なシェフのお料理を活かしながら
サービスされる方々にも、心からお礼を申し上げたい。







Phillipe Olivierの フロマージュ
正しくヨーロッパから直輸入!







今回の会食で感じたテーマは、「風」

風味ということばから判るように、日本の着物の持つエレガンス、繊細さ+西洋画の持つ時代を超えた芸術性のマリアージュ。

絵画には、画家とそれを観る観衆が、、、
音楽には、作曲家と演奏家、そして聴衆が、、

それぞれいるように、お料理には作る人と食べる人・・・
お茶室があって、主人と客の世界~



国を超えて会することの出来た今回の大分は、ル・セリエでの舞踏会。

これを可能にして頂いたのはいうまでもなく、オーナーご夫妻、男の中の男ムッシューGTOですが、
萩原シェフのお料理があってこそ結ばれた国際交流! 

みなさまに心から、悪友たちに代わりお礼を申し上げたいと思います。

ありがとう! ダンケ!  メルシー!













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